マナ
魔術
マギア
サバトの夜
終末現象
魔術の誕生 (大陸歴0年)
かつてこの世界には、多くの種族が共存し、独自の文化や技術を築いていた。しかし、約二千年前に魔術が誕生したことで、その均衡は崩れ始める。魔術の源は、天空から降り注いだ彗星に含まれていたマナと呼ばれる物質だった。これを用いた者たちは、現実を超越する力を手にし、世界における支配構造を大きく変えていった。
最初は、エルフを筆頭とする精霊族たちが精霊魔術を極め、その知識と力をもって文明の頂点に立つこととなる。彼らはその力を独占するのではなく、人間族にも魔術を与えた。そして、人間族に特化した魔術体系として生み出されたのが、刻印魔術である。しかし、力を手にした人間族たちは次第に精霊族の支配に反発し、ついには戦争を巻き起こした。
千年戦争 (大陸歴581年〜1483年)
魔術を手に入れた人間族は、古くから大陸に根づいていた精霊族を弾圧しようと動き出した。その動きはやがて、大陸全土を巻き込む千年戦争へと発展する。戦争が続くなかで、人間たちは力をつけていった。とくに刻印魔術を受け継いだ一部の人間たち、のちにアルカニアと呼ばれる一族は、戦いの中心になっていく。彼らは千年の間に、魔術を後世に継承し、代を重ねるごとに強力な魔術師を生み出して、他の種族を圧倒していった。
そしてついに人間族が勝利し、精霊族の時代は終わりを告げる。当時の精霊族の族長、ノストラダムスも処刑され、千年に渡る長き戦争は終結した。彼女は死の間際、次なる戦争と世界の終焉を予言し、亡くなったという。こうして、多くの精霊は滅び、生き残った者たちは大陸南部の森や秘境へ逃げのびて、姿を消した。
そして、人間族の黄金時代が始まった。
大陸統一時代 (大陸歴1483年〜1916年)
千年戦争が終結し、エルフをはじめとする旧来の種族が衰退した後、人間族は新たな時代を迎えた。覇権を握ったのは、刻印魔術を武器に戦争で活躍したアルカニア。彼らは大陸全土を支配し、大陸統一時代が幕を開けた。そして、各地に魔術を用いた防衛拠点や都市が建設され、四大名家[ルクシア家、ブランフォード家、ガルナード家、ドレイク家]を筆頭に、魔術における貴族制と、大陸魔導教会なる魔術組織を確立した。
しかし、この繁栄は魔術を持つ者のためのものであり、トールマンという魔術を持たないもう一つの人間族たちは、その恩恵を十分に受けることはできなかった。彼らの多くはアルカニアに奴隷として扱われるか、南部の農村地帯に追いやられ、厳しい労働を課される生活を強いられた。
鉱石魔術の発明 (大陸歴1917年)
南北戦争 (大陸歴1926年以降)
グリモワールによる鉱石魔術は瞬く間に広まり、大陸南部ではトールマンたちによる革命が勃発した。アルカニアの支配に終止符を打とうとする動きが本格化し、それに対抗するためにアルカニア側も徹底的な弾圧を開始する。
この革命戦争は、二つの陣営に分かれた。北側の大陸魔導教会(アルカニア勢力)は、千年戦争以降より続く伝統的な支配構造を維持し、貴族による統治を正当化するために。一方で、南側のグリモワール魔術連合(トールマン勢力)は、鉱石魔術を用いて魔術の自由を掲げ、平等社会を目指すために立ち上がる。やがて、戦争は次第に精霊族をも巻き込み、大陸全土へと拡大していく。こうして、この戦いは南北戦争と呼ばれる大規模な対立へと発展していった。
やがて、戦場ではマギアと呼ばれる魔術戦闘兵士たちが誕生し、圧倒的な力で恐れられる存在となっていった。
ハルマゲドン到来 (大陸歴1970年以降)
戦いが激化する中、世界には次第に異変が現れ始めた。戦場に渦巻く莫大なマナが大気や大地に影響を及ぼし、突如として魔物と呼ばれる恐ろしい存在が現れるようになったのである。魔物の介入により、戦局はますます混沌としていった。
さらに、人々を恐怖に陥れる現象が発生する。それがサバトの夜である。満月の夜、マナが異常に増幅し、魔術の制約が完全に消える。この異常現象により、普段は慎重に管理されるべき強力な魔術が無制限に解放された。マギアたちは抑えきれぬ力を振るい、戦場は瞬く間に地獄と化す。
こうした戦争の狂気と終焉の予兆に、人々は畏怖を込めてハルマゲドンという名を与えた。
現在 (大陸歴1999年)
「1999年、空から恐怖の大王が降ってくる」
ノストラダムスが世界の終焉を告げたその年、世の中は不安と混乱の中にあった。しかし、そんな未来を案じる余裕などないほど、人々はすでに戦乱の渦に飲み込まれていた。南北戦争は今なお続いている。戦線は拡大し、争いは収束の兆しを見せるどころか、更に泥沼化していた。都市は焼け落ち、廃墟と化した土地には無数の人々が倒れ、マギアたちは己の力を戦争の道具として振るい続ける。
それでも、誰も戦いを止めようとはしなかった。
この世が滅びるのか、
それとも新たな時代が訪れるのか
──それは、誰にも分からない。